おはようございます。
第5回目は絵本の御紹介です。
【 ひかりが
うまれたとき 】🍀
著 者/イヴォネ・リバス氏
( Ivonne Rivas )
画 家/イレネ・サビノ氏
( Irene Savino )
訳 者/みやかわ けんじ氏
始め この世には、一筋の光も差していませんでした。どこもかしこも闇で、ワラオの民は闇の中でヤシの実を集め、蝋燭( ろうそく )の明かりを頼りに繊維( せんい )を取り出し、ユルマをこしらへて食べていました。
その頃は、夜も昼もなく全てが暗闇だったのてす。
ワラオの民の中に二人の娘を持つ父親がいて、彼はある噂( うわさ )を耳にしました。東に住んでいる若者が、光を携( たずさ )えているというのです。そこで父親は上の娘に、光の主の所へ行って光を貰( もら )って来るように言い付けました。
娘はカヌーに乗って出かけましたが、オリノコの大河は枝分かれが多く、何本もの流れになって海に注いでいます。その中で、娘はシカの住処へと続く流れを選びました。
娘はシカに出合い、暫( しばら )くそこで過ごしましたがしかしそこに光はなく、父親の許へ帰った時、娘は何も持っていませんでした。
そこで父親は下の娘に、上の娘と同じ様に言い付けました。下の娘もカヌーに乗って出かけましたが、オリノコの大河の分かれ目では正しい流れを選び、真っ直ぐに下って行きました。
こいで こいで こぎ続け、、、、、
この作品は、太陽と月はどのようにして地球を巡る様になったのかという、南米ベネズエラ、オリノコ川辺( ほと )りに住むワラオ民族の伝説で、本文中に登場する『 ユルマ 』とは、椰子( やし )の一種モリッチェから作る食べ物です。
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この伝説の中に、光の主である若者と娘が戯れる場面があるのですが、純真な二人の様子を想像すると、私も楽しい気持ちになりましたし、天高く放り上げられたカメと天に輝く太陽が、一緒に歩むというところも面白いですね🍀
Sakuya ⚛️
* ベネズエラは南米北部の海岸に面し、多様な自然環境に恵まれた国です。カリブ海の沖合いには、マルガリータ島やロスロケス諸島などの熱帯のリゾートアイランドが浮かんでいます。
著者紹介
イヴォネ・リバス氏
( Ivonne Rivas )
ベネズエラ中央大学にて文学を学ぶ。文化人類学の観点からワラオ民族の調査を数度に渡って行い、言語にも詳しい。
画家紹介
イレネ・サビノ氏
( Irene Savino )
カラカスのデザイン学校卒業後、ニューヨークのパーソンズ・デザイン校にて修士号を取得。本書のイラストを描くために、デルタ地帯で取材を行った。
ひかりがうまれたとき
発 行/2002年8月15日
発行所/新世研